性違和とぼく 前編

赤裸々に語るのは一種の自傷かもしれない。もしくは、一種の露出狂か。
そもそも、自分のことをこうして書き起こすという行為自体が、白い目で見られるもので……

性違和。
最近はLGBTのT(トランスジェンダー)としてよく見かけるか。
性同一性障害性自認そのものから違うのに対し、性違和は性自認は生物学的な性別に基づくものの、社会的な役割等を通して違和感を抱くものを言う。(要出典)

 

僕も性違和を持っているものの、やはり未だある社会的な偏見に自身も囚われており大手を振って性違和があるとは言ったことはない。医者にもあまり深くこれについては語ったことがない。
(これについてはある一件から医者をあまり信用していないからなのだが、今回は割愛する。)
つまりここで書き纏めたものが第三者にはじめて公表するもので……
終わってしまった人間が何を隠す必要があるものかという話で。

 

初めて性違和を感じたのは自分の持つ記憶の最下層のほうにある記憶で、だいたい4歳?くらいの話になる。
幼稚園のお遊戯回で桃太郎?(おそらく桃太郎だった)を演じることになった我々は役を振り分けることになった。役は以下の通りだ。

・鬼(先生だったと思う)
・桃太郎(数人)
・猿(数人)
・犬(数人)
・鳥(数人)
・おじいちゃん、おばあちゃん(たくさん)

役決めの方法なのだが、記憶が定かではないが登園順であった気がする。家の立地から徒歩登園だった僕は選択肢がほとんどなくなってしまい、第一希望は鳥(なぜキジではなく鳥だったのか疑問が残るところではあるが、おそらく園児に配慮してわかりやすい表記にしたか、演目がそもそも桃太郎ではなかったかのどちらかだ。)だったが生憎人数が埋まってしまい、残った役はおじいちゃん・おばあちゃんしかない状態だった。

そこで僕はなんの疑いもなくおばあちゃん役を選んだ。おばあちゃん役を選んだ理由は特にない。本当に、自分はこの役が適任だと思って選んだ。
その日、仲の良かった先生に割烹着を着せられながら「本当におばあちゃん役でいいの?」という問いを投げかけられた。

 

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引用 ふみふみこぼくらのへんたい 3巻』

先生の問いかけは当時の僕には実質的には「その役は君には合ってないと思うけど大丈夫?」という問いとして僕の中で変換された。僕は残された二択でしたかった方を選んだつもりであったが、信頼を置く先生曰くどうやらおかしいらしい。
人生初めての社会的な回答だった。僕は数秒悩んだ末、おじいちゃん役を演じることに決めた。

今こうして思い返してみるとただの発育的エラーを自信の考えで直した記念すべき体験であったり、社会性を身につける上でのよくある二択だったのかもしれない。
しかし、エラーはここで修正されなかった。
というよりも、場当たり的に修正しきれるようなものではなかったのだ。

それから小学校へと進学して、男児番組よりも女児番組にハマったり(言わずとしれたカードキャプターさくらのこと。親の転勤先がNHKしか映らず男児番組がほぼなかったのもあるが)、女子に混ざっておままごとをしたり(これはおままごとをしていた旨をクラスの前で発表しドン引きされた経験で修正)、女子の誰がどの男子を好きであったかを男子の中で一番知っていた(これも男子のスパイ扱いをされ修正)等の経験を得て社会的にはかなり男性として振る舞えるように成長していた。
これも、今思えばヒトが社会性を得る中でよくあることだったのかもしれない。
男性/女性という2つの陣営に完全に分かれる中学年あたりには、転校という環境の変化もあって完全に男性陣営の一人として振る舞っていた。

 

このままいけばおそらく『男性』のままだったのだろう。
しかしいくら隠したところでいつか綻びは見えるもので、それは中学進学と同時にやってきた。

 

ayu3c.hatenablog.jp

過去記事の通り、僕は親の意向により『お受験』をした。
結果としては2校受かった。違いとしては、近所の男子校か、田舎の共学校であるかだ。
愚かなことに僕は近所で、小学校の友達が数人進学するからという理由で男子校を選んだ。非常に愚かだ。友達を数人作ることなど、当時の僕にとっては別に何の造作もなかったはずであるのに、たったそれだけのことで以降6年、いや今後の人生を決めてしまった。
蓋を開ければ男子校は典型的な『自称進学校』で、共学校は県内有数の進学校であった。
こればかしは自己責任だ。偏差値等のそういった知識がなかったにしても、自分で選んだことには変わりない。それからの転落人生は上記のとおりだ。

 

かくして予定通り寮へとぶち込まれた僕はそこから数年間12~18歳の男共が跋扈する空間で生活をするわけだが、第二次性徴期を迎える男児にとって男子校という特異な空間が悪影響を与えないわけがなかった。

 

今回は前後編に分けようと思う。特に合理的な理由はなく、僕自信が性違和に語ることについて少し抵抗があるだけである。
ここまで書いておいて申し訳ないが、次は気分次第…という身勝手なものになる。
後編へつづく